ドバイを拠点とする暗号資産(仮想通貨)マーケットメイカーのDWF Labsは12日、韓国でのウォン建てステーブルコインの可能性を分析した最新の調査レポートを発表した。同国は暗号資産の個人投資参加率が高く、デジタル決済インフラも世界トップクラスであることから、ステーブルコイン導入の有望市場になると指摘している。

DWF Labsはシンガポールや韓国などにも拠点を構え、暗号資産市場でマーケットメイカーとして活動するほか、有望なブロックチェーンプロジェクトへの投資も手がけている企業だ。

レポートによれば、韓国では総人口の約3分の1にあたる約1800万人が暗号資産を保有していると推定されている。2025年初頭には暗号資産の取引量が同国の株式市場(KOSPI・KOSDAQ)を上回る局面もあったという。こうした背景から、政府もステーブルコインやデジタル資産に関する法整備の検討を進めているとしている。

「キムチプレミアム」が示すウォン市場の需要

韓国は以前から、ビットコイン(BTC)をはじめとする暗号資産の価格が海外市場より割高になる現象「キムチ・プレミアム」で知られている。

alt 〈DWF Labsのレポートより〉

例えば、USDTなどのドル建てステーブルコインは韓国取引所で平均5%程度のプレミアムが付くことがあり、ピーク時には10%近い価格差が観測されたこともあるという。

レポートは、この現象を「ウォン建て流動性の不足」と「ドル建てステーブルコインへの依存」の結果だと分析。ウォン建てステーブルコインが導入されれば、国内市場の流動性が高まり、国外への資本流出の抑制にもつながる可能性があるとしている。

また、当局による不正活動の取り締まり能力が高まる可能性もあると指摘。KYC(本人確認)やAML(マネーロンダリング対策)の基準を厳格に適用できる点も利点として挙げている。

韓国企業・海外プレイヤーが参入を模索

ウォン建てステーブルコイン市場を巡っては、国内外の企業が参入を狙っているという。

同国内では、インターネット大手のNaver(ネイバー)が動きを見せている。同社は昨年11月、同国最大の暗号資産取引所Upbit(アップビット)を運営するDunamu(ドゥナム)を買収する大型取引を発表。決済サービス「Naver Pay」を中心とした決済エコシステムを背景に、ステーブルコイン発行の可能性が報じられている。

また、LINEとカカオのブロックチェーン事業の統合によって誕生した「Kaia(カイア)」も、ウォン建てステーブルコインの実装に向けた基盤整備を加速させている 。

海外勢ではCircle(サークル)やTether(テザー)が韓国市場への参入を模索。ウォン建てステーブルコインのパイロットプロジェクトでは、同国の銀行と連携する形で実証実験が進められているとレポートはまとめている。

ただし、同国でのステーブルコイン導入には依然として課題も多い。特に発行主体を「銀行主導」とするか、「民間企業にも開放するか」を巡る議論が続いているという。

同国では現在、ステーブルコインやデジタル資産運用に関する法的枠組み「デジタル資産基本法(DABA)」の策定が進められており、年内の可決が期待されているとレポートは指摘。明確な規制枠組みが整えば、ステーブルコインの主要市場になる可能性が高いとしている。

|文:橋本祐樹
|トップ画像:Shutterstock

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