暗号資産取引所クラーケンの親会社であるPaywardが、シカゴ拠点のBitnomialを最大5億5000万ドルで、現金と株式の組み合わせで買収することで合意した。
本件は規制当局の承認を前提とし、2026年前半に完了する見通し。クラーケンは、Bitnomialが10年以上にわたり構築したCFTC規制下のデリバティブ関連システムを一括して取得することとなる。
BitnomialはCFTCの監督下で3つの中核事業体を運営している。指定契約市場(DCM)、デリバティブ清算機関(DCO)、先物委託業者(FCM)ブローカーで構成される。これらが米国で数少ない完全な暗号資産ネイティブかつ規制下にあるデリバティブ・スタックを形成している。
同取引所は米国市場に複数の初となるサービスを提供した。商品にはCFTC規制下のパーペチュアル先物、現物決済型のビットコイン(BTC)オプション、個人投資家向けのレバレッジ付現物暗号資産取引などが含まれる。
Bitnomialはまた、取引のマージン担保および決済に暗号資産を活用できる仕組みも提供している。
Paywardにとって、今回の買収はインフラ強化の戦略をさらに推し進める動きだ。同社はこれまでにも、派生商品事業強化のためNinjaTraderやSmall Exchangeを買収してきた。
直近ではドイツ取引所グループからの2億ドルの投資があり、Paywardの評価額は約133億ドルとなっている。
この買収は、暗号資産業界における集約化トレンドの拡大を象徴する。取引所各社は競争力の源泉を、取引高よりも規制ライセンスや清算インフラ整備に置きつつある。
米国規制下での暗号資産デリバティブに対する機関投資家の需要増加に伴い、決済・清算インフラの支配が構造的な優位性をもたらす可能性が高い。
PaywardがBitnomialの技術や人材をどれだけ早期にクラーケンやNinjaTraderに統合できるかが、今回の5億5000万ドルに及ぶ買収の短期的なリターンを大きく左右する。

